2023_富士山頂往復マラニック(ゼロ富士)

 

暑い暑い、夏の日。

美しいエメラルドグリーンの海、空に浮かぶ白い雲。

ぽつんと置かれた真っ赤なカーペット。

日本一高い山に、自分の精一杯をぶつける「真夏の冒険」。

 

一ヶ月経ってしまいましたが、4度目のゼロ富士挑戦レポを残しておきます。

 

 

今年のゼロ富士はなんと20周年の記念大会。

新しいカテゴリー「X-1」が新設されたのが話題でした。奇しくもあの呟きアプリの名称変更のタイミングと重なり、少し意味深な名称となりました。

そのX-1、私が出る機会は間違いなく訪れませんが、ざっくり言うと、富士山を登って下りて登って下りてぐるっとして帰る270kmで制限時間72時間・・・と言う信じられないスケールで、本物のグレートレースと言っても良いと思います。

 

それはさておき、なぜか今年もここ、田子の浦みなと公園にやってきてしまいました。

昨年、もう絶対出ない!と誓ったはずなのに・・・。

 

鍛えられた脚・脚・脚・・・

 

今年のスタートは公園の利用時間の関係で14:00~16:00と時間が早め。

東京駅でさりーぱぱとトラと落ち合って新富士駅へ。タクシーに乗って14時過ぎに公園着。受付のナオさんに挨拶、ヒゲ、晴れ男さんに会う。

受付や準備を済ませ、トイレに行って荷物を預け、海岸の方へ向かう。

まだまだ日差しが熱い中15:00にゲートをスタート。

距離112km・制限時間24時間・高低差3776mの旅が始まりました。

 

ヒゲはX-1です。69時間後にゴール予定だって(驚)

一応、記念写真。まだ元気。

 

しばらく、トラ、ヒゲ、さりぱぱの4人で進んで行きますが、あまりに暑い!

東名の下をくぐる直前のセブンに倒れるように駆け込む。まだ10km越えてないのにヤバすぎる。トラに氷をもらって少し復活。

15km 浅間大社 17:50着

意外にも昨年と同じくらいのペース。悪くないね。

 

 

登頂祈願をして裏手の湧き水から道路へ。ここから緩い上り坂が始まる。

トラさんが「ここから最終コンビニまで休憩入れずに一気に行くのが大事。」とどんどん行ってしまう。そして追走するヒゲ。

徐々に引き離されたが、私もほぼ休まず最終コンビニに到着し、トラ、ヒゲと合流。暑さに弱いさりぱぱはまだ来ない。

去年はカップラーメンを食べたけど、今年は気持ち悪くて、冷たい蕎麦を買ってすすりこむように食べた。

 

 

水分1L分を胸ポケットに入れて再びスタート。

ここから長い長いロードの登りを走っていく。トラ、ヒゲは見えなくなり、晴れ男さんと抜きつ抜かれつだったけど、いつしか先に行ってしまった。

暑さによるダメージが徐々に効いてくる・・・。

なんか力が湧いてこない。

 

33km 西臼塚エイド 20:15着

するとジミーさんにばったり!今日富士登山競争を完走したのに、こちらへ来てエイドのボランティアだって。びっくり!

小さいおにぎりを何とか1個食べたが、その後はしばらく草地で横になる。石井さんとトイレによってから走り出すが、また石井さんのヘッドランプも徐々に遠くなり見えなくなった。

 

料金所を過ぎると、もう走る気が完全に失せてトボトボ歩きになる。すると昨年は全く無かった睡魔が襲ってきた。猛烈な睡魔で道を蛇行しながら進む。

眠さと疲労で何度も座り込む。すると「お!ナガイモ兄さん!」とさりぱぱが追い付いてきた。しばらく後ろに付かせてもらったけど、疲労でまた座り込んでしまった。

 

チキンラーメンを提供してくれる私設エイドも残念ながら食欲無くパス(涙)

途中で会った人に「メッチャ眠いっす」と言ったらガムをくれた。ガムを噛んだらすぐにシャキーンと眠気が飛んで、少し歩いたら五合目に到着。ガムは必携品に昇格となった。

49.2km 富士宮五合目 00:30着 

最低でも0時に富士宮五合目着と思っていたが、さらに30分遅れ。

去年動いていなかった自販機が動いていて麦茶を購入。プレハブ小屋の中に入る気力もなく、路上に座り込んでおにぎりをなんとか半分だけ食べる。動き出す気がしなくて30分くらい座り込んでしまったが、やっと気力が湧いてきて登山道を登り出した。

 

時間は既に午前1:00 完走は限りなく赤信号か?!

 

呼びかけ人の萩田さんが給水所を設けてくれていた。

 

今年は奥信濃100や富士箱根トレイルを走って、登りのコツをなんとなく掴んだ気がしていて、また2週前に須走口から富士山頂を往復していて、ほぼ休憩することなく山頂まで行けたので、昨年より大幅時間短縮を目指していた。

がしかし、富士宮ルートは意外にも長く険しかった!

そして昨年より大幅に冷え込んで、薄手のダウンを着ているのに、休憩すると身体が冷えてガクガク震えた。

 

 

9合目から山頂を見上げた時の絶望感は半端なかった。

息も苦しくて、高山病の症状がキツイ。登頂できるか不安がよぎる。

やっと山頂に到着。

昨年はいなかった山頂出迎え隊を発見。写真を撮っていただく。

この後、座り込んで少しリバース。。。

日本最高地の剣が峰 05:40に登頂。

結局、昨年と同じ4時間半ほど掛かってしまった。

 

膝下でカットしたワークマンの雨具は動きやすくて良かった。

登頂時間をご来光に間に合わせる予定だったのに、すっかり明るくなっていた。

登頂後すぐに御殿場口から下山開始。

ブルドーザーで整地された道を走っていく。眼下に山中湖が見える。

6合目のわらじ館でスイカを食べる。気持ち悪かったけどフルーツだけは食べられる。

宝永山が見えてきた。砂走を滑るように下っていく。

24時間制限時間完走は無理そうなので少しのんびりしてしまった。まもなく五合目。

 

富士宮五合目に下山 8:00過ぎ。7時間以上登山に時間を掛けてしまった。

 

階段を降りたら、フルーツを沢山並べた私設エイドの女性がいた。バスで下から背負ってきてくれたみたい。フルーツだけは食べられたので、ありがたくパイン、トマト、スイカをいただいた。ほとんど食料を口に出来ていなかったので本当に地獄に仏!おかげで元気が出てきた。本当に感謝!

 

登山中は五合目まで降りたらリタイヤしてバスで下山かな・・・と思っていたが、やっと気持ちが前向きになってきて、走って下る覚悟が出来てきた。靴紐を結びなおして、富士スカイラインを走り始める。

 

料金所先のバイキンマンさんエイドまで約12kmの下り。去年は何度か歩いたが、今年は一気に走って下った。今年もバイキンマンさんはエイドを出してくれていた。本当に感謝。そこから約4kmの西臼塚まで休まず走って到着。下山口から西臼塚エイドまで16kmをかなり順調なペースで下る。

 

エイドでは去年は大盛のマカロニスープをいただいて完食し、この補給が最後まで効いたのでお腹をいっぱいにしておきたかったが、今年は胃腸が最悪。

カレーライスをいただいたが、少しだけ食べて残してしまった。好意で出していただいている食事なので、本当に申し訳なかった。

 

ここから最終コンビニまで25kmほど。歩かずに走ると決めて下り始める。日影が減ってきて日差しが徐々に暑くなるが、歩かずに下っていく。途中の私設エイドでコーラをいただき、手拭いを水で濡らしてもらう。手拭いを首に巻くと少し元気が出た。トップガンに到着。有難く水を頭から被る。

最終コンビニのファミマ着。九十九折の長い坂道はここで終了。

ファミマでトマトジュース、フルーツゼリー、ブロック氷を購入。トマトジュースは飲めたけど、フルーツゼリーは一口しか食べれなかった。ブロック氷は体のあちこちに挟んで出発。

 

高度も下がり日も上がってきて、いよいよゼロ富士最後の灼熱区間に突入。

持ってきた日傘を差しながら直線道路を下る。日傘は風があるとできないけど一定の効果は感じる。

そして、浅間大社に到着。湧き水をざぶざぶ頭から被り、ペットボトルにも被り用の湧き水を詰めて、再出発。

 

向かいの道路にキョロキョロしている女性を発見。スカイラインで追い抜いたワラーチのランナーまきさん。ブロック氷をいただく。お互い心が折れかけていて、ここから一緒に進んで行く。信号前の日影で休み、信号が変わると進むの繰り返し。

行きで立ち寄った東名下のセブンでブロック氷を買って、ザックと背中の間に入れたら結構復活したが、まだまだ先は長い。

進んでも進んでも距離が減らない。もう100kmを超えたけどまだまだゴールは先。

24時間制限の15:00着は無理だけど、ゴールを設けている16:00には帰りたい・・・。

 

下りはここまで順調に降りてきたけど、あまりの暑さと疲労の蓄積で心身ともにボロボロになってきた。

このマラニック富士宮駅でゴールでいいんじゃないか?とか、アプリでタクシーを呼べる時代になんでこんな灼熱地獄の中走る意味があるのか?とか悶悶と考えながら進む。同行者がいるので、なんとか進んで行く感じ。

このマラニックの一番辛いのは富士宮駅を過ぎてから先だという事実に、改めて思い知らせれる。

 

富士インターを右に曲がり、ユニクロを超えて、歩道橋を超えて残り2kmくらいがメッチャ長い。16:00をちょっと超えてしまったが、まきさんと共に、なんとか田子の浦みなと公園に帰ってきた。

 

空は青く、海も何も変わらず、美しいエメラルドグリーンのままだった。

 

ちょうどゴールゲートを撤収中でした・・・涙

 

制限時間には帰って来れなかったけど、自分の脚でここまで帰ってきただけで満足している自分がいます。

初参加の時は制限時間には戻って来れない時間になってしまい、五合目からバスで帰ってきた。今年は似たような状況だったけど、自分の脚で帰ってきた。

 

ダメかと思っても復活するのがウルトラ。自分の意志で始めたことなんだから、自分の意志では諦めずに終わらせる。関門アウトや自分の意志以外の理由で止めざるを得ない状況なら仕方ないけど。

 

そんな当たり前だけど、実は困難なことが大事なんだよなあ。と改めて思い知らされた今年のゼロ富士でした。

 

※その後、新富士駅近くの風呂に入って、ビール飲んで帰宅し、翌日は家でゴロゴロして、LINEを見ると、まだ走っている「X-1」戦士・・・。本当に凄いです。

 

 

 

おしまい